「…リヒト…それじゃあ、本当に分からないじゃないか…」

困った。
リヒトが来たときには、もう出会ってしまっていたなんて…。

これじゃあ、対処のしようがない。

「―カオが起きたら、聞くしかないね…」

イヤだけど。
カオから、シエルの名が出ることで、カオになんらかの害が出ないとも限らない。

それくらい、シエルはとんでもないことをやらかしてくれたのだ。

もっとも、それに関しては無知だったこの男にも、非はあるが…。

「……リヒト。また、同じこと繰り返すつもりじゃないだろうな…」

少し睨み付けるように、言う。
ショウは、無言のままリヒトを見つめる。

「……私は…」

リヒトは僕たちを静かに見ながら、ゆっくりと言い聞かせるように否定する。

まるで、過去と今の自分自身にも言い聞かせるような…

「ぜったいに、もう、しない」

 ふう…と息をつき、感情を抑える。ほんとは、分かっているんだ。リヒトは悪くない、と…。