「机に頭ぶっつけられて─…」


ペラペラ話す近藤さんを軽くあしらいながら、祐也さんの影に隠れる私を見つけた直子さん。



「あれ?この子は?」


「あ、えっと…矢野未裕っていいます」

「よろしく。若いねー」



クスクス笑ながら話しかけてくれる


すごく綺麗で気さくな人だ…








これが直子さんの第一印象だった。



その直子さんは微笑みながら言葉を続けた。


「どっちの連れ?」


「あ…俺」



…あ…れ?


今喋った祐也さんの顔、ひきつった?


いや、気のせい?




「へぇー、そーなんだ。祐也にもやっとかぁ…」


え!!?


なんか含むような言い方…

直子さん、勘違いしてる!


祐也さんに向いていた意識が、直ぐに直子さんに向かう。


「えっ!!?そうなの?」


近藤さんまでもがつられて言い出した。





「いや、違うなぁ…なんつったらいいのかな…。色々あんだよね?未裕」


いきなり話を振られ、焦った。



「あ、は…はい」


緊張してるから自然と出てくる敬語。





「なーんだ、違うんだ。」

「焦るーっ、北坂、脅かすなよな!」



「あぁ…わり」




そう言った祐也さんの表情。


それを見た瞬間、時間がストップしたように私の頭の中は、スローモーションで映像が流れていく。




安堵したような、ほっとした表情をしてた…


それに微かに頬が赤く見える…





祐也さん…