「別れよう…」




宏人は驚いた顔であたしを見た。



「今のままじゃ、お互いだめになっちゃう…。あたしも宏人も前に進めないと思う。…だから、別れよう…?」



どうしてこんなこと言い出したのか、自分でも分からない…。



でも、そこには以外にも冷静な自分がいた。





『…分かった。』



宏人は少し間をおいてからそう答えた。



『じゃ、俺から行くな…?』


「うん…。」



カラカラ…


宏人はそう言い、歩き始めた。



宏人の背中がどんどん遠くなっていく…。






「ひっ。ぐすっ…」



宏人が見えなくなった途端、あふれ出した涙。


「ぐすっ…。あ…あたし何泣いてんだよ……」



5年間、ずっとずっとずっと…

大好きだった。



もうあたしには空気のような存在で……


だけど、もうそんなころには戻れない…。


ただ、それだけ。




大好きだった人。

今まで、ありがとう。

幸せをありがとう…。



そして

さようなら…。