頭をあげて、先輩を見る。
うつむいて下を見ている先輩。
「…せんぱ」
『ふざけんな。』
………………え?
あたしの声と重なって聞こえてきた声。
「………ハル……先…輩…?」
『お前さぁ。誰フったのか分かってんの?』
今まで見たこともないような恐ろしい表情であたしを睨む先輩…。
ドサッ。
次の瞬間、あたしはすごい力でベンチの上に押し倒された。
『調子こいてんじゃねぇよ!』
バシッ
先輩はあたしの頬を思いっきり叩いた。
………この人…誰……?
恐怖で声が出ない。
血が出てるんじゃないかってぐらい、ジンジンと痛み出す頬。
両腕はすごい力で押さえつけられている。
「…やっやだ!やめて…っ」
ようやく状況を理解したあたしは必死で手足をバタつかせる。
誰か…誰か……。
助けて助けて助けて………。