「…あっ」


思わず声を出してしまったあたし。


その中に宏人の姿が見えた。


その集団はどんどんこっちに歩いてくる。



…うわっ。

どうしよ……。



気がつくと、自分のブレザーの裾を強く握っているあたし。



その時、クラスメートらしき女の子が宏人に話しかけに来た。



楽しげに話す二人。



そのまま、あたしの横を通り過ぎて行った。





『…おーい?苗ちゃん?』


「……わっ。ごめんなさいっ。」


ハル先輩の声で、現実に引き戻される。


『おいおいー、ボーっとすんなよー。』


「ははー、ごめんなさーい。」