私が唖然とする中、後ろで菅ちんが叫んだ。

「馬鹿、渡辺!?」

「〈先輩、お先に。
抜け駆けは禁止じゃなかったので。〉」

「…っずりぃー!!」

「〜〜〜〜〜っ!」

菅ちんが叫びながらお客様Bの首を絞めた。
わーぉ、良い気味。


って言うか渡辺くん告白!?
誰に!?
女の影なんて大量にありすぎでわかんなかった!!←
渡辺くんが舞台の方にカツカツと歩いてくる間、会場はしんっとしていた。

渡辺くんが舞台のすぐ前に立った。
私は座ってるけど目線は私の方が高い。



「〈春野。〉」

『はぅっ、はいっ!?』

あ、マイク!?
好きな人に、持っていけって事かな?
それって、残酷だなぁ…

誰だろ?
一目お目にかかりたい…
あ、他校なのかも。
だって他校もOKにしようって言ったの渡辺君だし。


あは、泣きそー…

「〈春野。〉」

『《はぃぃ…》』

「〈立て。〉」

『《わかりましたぁ…》』


駄目だ、涙声になる。
バレないように笑わなきゃ。

あ、渡辺君が恋実らせてからコクってやろう。
最後の足掻きだ馬鹿野郎…