本当に、信じられない。
「…な…んで…」
ずるい。
ずるいよ……先輩…
手のひらに転がって出てきた物…
それは……
「…っ……ボ…タン?」
そう。
紛れもなく、それはうちの学校の制服のボタンだった。
さっきから、どうしてばかりだ。
どうして私の手のひらにこれがあるの?
何?
何なんだぁ~!!
「詩織」
一人、ボタンを眺めて突っ立っているところへ
私の大好きな声が耳に響いた。
「……せん…ぱい?」
私はゆっくり、ゆっくりと声のした方へと顔を向けた。
「……今日は泣いてる」
振り向いた先には、奏先輩。
「…だっ…て…」
「何で、泣いてるの?」
「…せん…ぱいが…いなくなっちゃうから…」
私は手のひらに乗っているボタンを胸の前でギュッと握りしめた。