「……先輩…奏…せん…ぱ…」



泣いて走ったから、息が切れる。




「ハァ…ハァ…先輩…?」




玄関に着いたけど、先輩の姿が見当たらない。




外…かな……?




私は、切れる息を整えて、自分の靴箱から靴を取り出した。




先輩…どこ?



もしかして……




「帰っちゃった…?」



また、涙がこみ上げてくる。




やだやだ!!




先輩……



先輩…!



私は急いで靴を履いた。



「…!!…いった!!」




急いで靴を履いたせいで、靴に入っていた“何か”を思いっ切り踏んでしまった。




「誰!?こーゆういたずらするのっ!!」



クラスの友達だろうか…


一体何を入れたのか。




私は靴を手にとって、中に入っている“何か”を手のひらの上に出した。



「………」




コロコロッとそれが、手のひらに出てきたとき、私は思わず目を見張った。