どうして?
「……せ…ぱい…」
携帯が震えたのは、奏先輩からメールが来たから…
もう期待しないでいようって思ったのに。
思ったのに…
何でよ…
「…っ……ふ…」
私は涙を流しながらフォルダを開いて、メールを見た。
「…ぅ…先輩…奏先輩…」
メールには…
『放課後、玄関で待ってる』
そう書かれていた。
何でそんなこと言うの?
先輩……
どうして……
「っ…!!」
私は流れる涙を拭って、教室を飛び出した。
先輩
先輩
先輩…
会いたい。
会って、話したい。
話して、あの優しい笑顔を向けて欲しい。
それで…
もう一度……
“詩織”って呼んで欲しい……
先輩……
待ってて…
今行くよ。
先輩…