在校生が全員入場し終わり、保護者も入場し終わると
司会の先生の進行で卒業式が始まった。
三年生入場の時は、先輩をちゃんと送り出そうと決めても、やっぱり辛くて……
どうしても入場を見れなくて、ずっと俯いていた。
それから、三年生が全員座るまで、ダメな私はずっと
下を向いていた。
「卒業証書授与」
司会の先生がそう言った時、私の目線は、自然と奏先輩に向けられた。
代表者の人が卒業証書を受け取りに出たとき、先輩は、練習の時みたいに
真っ直ぐ前を見つめていた。
先輩……
何考えてる?
きっと、好きな人にボタン渡せるかなって考えてるよね?
あと、もちろん、卒業の喜びも噛みしめているだろうし……
それから、それから……
「っ……」
こらえていた涙がとうとう溢れた。
それからね?
私のこと、少しでも考えていてくれたら…
嬉しいです…