かず君がホームルームで今日の日程を話終えると、みんな、だるそうに立ち上がり、ぞろぞろと廊下に並び始めた。
私も友達と話しながら廊下へ並ぶ。
「ハァ…」
ダメ…沙也香……
泣いちゃうかも…
私は話しかけてくる友達に、うんうんと相槌を打ちながら
今にも溢れ出しそうな涙を必死にこらえた。
「おーい、次、うちのクラスが入場だからぁ。服装しっかり整えろよー」
面倒くさそうなかず君の声で、列が動く。
私は、キュッと唇を噛み締めて、真っ直ぐ前を見据えた。
…先輩には好きな人がいたけど、今は関係なし。
卒業式なんだから、好きなら…
ちゃんと先輩を送り出そう……
でも先輩……
先輩が卒業しても、諦められるまで…
好きでいても
いいですか?