先輩に好きな人がいた。
自惚れてたんだ私…
先輩に一番近いのは私だって。
バーカ…
「瞼がぁ~…突っ張ってる~…」
「でも腫れてはないよ?」
朝、卒業式が始まるまでにまだ時間があったので、私は沙也香を教室に呼びつけていた。
一人じゃあ、心細過ぎてまるで、うさぎだ。
「平気かなぁ…」
「平気平気!!」
私が顔を両手で覆うと、沙也香は励ますように笑った。
「いや、酷い顔だな」
そこへ、ボソッと、いつものあの嫌みな声が参加する。
「…ハァ…またかず君?」
「またかず君?って、お前なぁ、もう朝のホームルーム始まりますぅ」
「嘘!!」
私は勢い良く、顔を時計に向けた。
「わー!!まじだ!!ごめん沙也香っ」
「ううん、大丈夫!じゃあ…2時間くらい会えないけど頑張ってね?」
「うん…泣かないように我慢する…」
こんな二人の会話を聞いて、かず君は呆れたように私をチラリと見た。
まぁ私はそれに気づかないふりをしてたけど…