靴を履いて、外に出ると、先輩がブレザーのポケットに手を入れて立っていた。
「先輩っ」
「お!」
私が先輩に駆け寄ると、先輩は優しい笑顔を私に向けた。
「行こうか」
「…はい」
ドキドキする…
も~っ!
顔熱い…
「明日」
「へ…」
「明日、とうとう卒業だぁ」
「……」
やめてよ……先輩…
悲しくなるよ…
「…詩織、色々楽しかったな。ありがとう」
「…私も…楽しかった…」
「…へへっ…それは何よりだよ!あ…もう駅だぁ…」
歩いて話していたらもう駅だ。
何で時間の流れってこんなに速いのかな…
もっと、先輩と話していたかったよ…
「じゃあな!また明日…」
先輩は私に手を振って、また笑顔を向けてくれた。
ダメ……このまま、卒業式なんて…
ダメ…!
「……っ…あの!!」
私は、自転車にまたがった先輩の背中に呼びかけた。
「ん?」
そんな先輩は、振り返ってキョトンとした顔で私を見つめた。