体育館は既に卒業式の式場に変わっていた。



明日が卒業式だから当たり前だけど。




私は、自分の席に座りながら、前に座っている三年生を眺めた。




先輩は、どこ?



たしか……3組だよね…


保坂だから……




「……!」



いた……




私が見つけた先輩は、真っ直ぐに前を見据えていて……



あの時の、あの、先輩の自転車で駅まで送ってもらった時の言葉が思い出された。



『俺、卒業したくないな~』




先輩はそう言ってた。




先輩…私も…



私もね?



先輩に卒業なんてして欲しくないよ…




先輩……明日だよ…




卒業式……



明日だよ…