先輩は優しい。
しかもかっこいいから、同級生にも後輩にもモテモテだ。
それはすごく分かってるよ。
「……片瀬」
「はい」
「いいか?高校生の男子っていうのは、自分を好きだって言う奴には大抵優しいもんだ。」
「何それ」
私はクスクスと笑った。
「そーゆうものなの!だから…」
「だから?」
「卒業式の日、保坂に好きって言って、ボタン貰ってこい!!」
「えぇっ!?」
「えぇっじゃなくて!…まぁ、うちの学校は制服はブレザーだからな…学ランみたいなボタンじゃねぇけど。」
「う~ん…てゆうか、ブレザーのボタン、二つだよ?」
私は眉を下げてはははっと笑った。
「…それでも、貰うと貰わないんじゃあ、全く違うよ」
「……うん…」
ボタンかぁ……
「頑張ってみる…」
私は唇を尖らせてかず君を見た。
「おう」
かず君はニッと笑って私の肩を叩いた。