私は、勢いよく振り向いた。




「…っ……私…いくじなしだから…分かんない…」




また泣いてる…



バカみたい…




「…いくじなし…だな…」




かず君は、私に近付いて、私の頭を軽くポンと叩いた。




「痛い…」



「バーカ!お前なんかに誰が優しくするか!」



「…もう一生先生なんて呼ばない…」




私は涙を拭いながら、かず君の肩にパンチを入れた。




「いってぇ~…バカ!!」


「ふんっ」




私はかず君にいつものようにベーッとした。



するとかず君は、ふっと笑って




「泣いてる暇なんてねぇぞ!!卒業式まで、あと少しだ。バレンタインも渡せなくて、このまま保坂とバイバイでいいのか?」



と言った。




「やだ…」




私は唇を尖らせる。




「保坂モテるんだぞ。分かってんの?」



「分かってるよ。一番…分かってるつもり…」





私は静かに瞼を閉じた。