みんな、帰れって言われて帰るのは早いんだから…




「そんなに掃除が嫌なものですか……」




かず君は、苦笑いをしながら私が持っている箒を奪い取った。




「……あ…」




箒を奪い取ったかず君は、それを用具入れにしまって「ふぅ」と息を吐いた。





「お前、ウジウジしてんな」



「…してない…もん…」



嘘。



図星だよ。




「ハァ…お前なぁ、テスト終わったらだぞ?卒業式は!」



「そんなの分かってるよ」



「じゃあウジウジしてないで何かしろよ」



「だから、してないってば」




私は、ため息をついてかず君の横を通り過ぎ、教科書が詰まったリュックを背負った。




「ウジウジしてるから泣いたんじゃないの?」




教室を出ていこうとした私は、かず君のその言葉にピタリて足を止めた。



「ほら、図星だ」



「……」




何でバレちゃうんだろう。




「……ど…すればいい?」



「え?」