1日の授業が終わって、教室の掃除をしている時だった。




「片瀬」



かず君がツカツカとこちらへ向かって来た。




「何ですか。“先生”」


「その先生って、言い慣れてない奴の言い方だな」



「うん。先生なんて久しぶりに言ったもん」




私はそう言ってから、かず君の横をササッと掃きながら通過した。




「お前、どうすんの?」


「は?」



「は?じゃなくて」



「こんなみんながいる所でそんな話しないでよ」


私は「はぁ」とため息をついた。




するとかず君は




「よっし!掃除終了~!あと15秒で帰れ!」



と突然、言い出した。




何で?と、女子にも男子にも聞かれるかず君。




「ちょっと…!」



「いいんだよっ!早く帰れ~」




私が止めるのを振り払ってかず君はニカッと笑った。



みんな、やったーと喜んで、鞄を持って教室をバタバタと出て行った。