私は目を見張らずにはいられなかった。




「ごめん!!やっぱりぶつけた!?よそ見してたら、突っ込んじゃったよ!まじごめん!!」



先輩は、私の顔を覗き込んで言った。




「歩ける?」



「……え…あ…」



ど…どうしよう!!




「え!?詩織痛いの!?!?歩けない!?じゃあどうしよう!!駅まで、まだ少しあるけどー」



私が口ごもっていると、沙也香が大声でそう言った。




「詩織そんなに痛い?」


「…あ…少し…」



私は沙也香の言葉に便乗してみる。



先輩は少し、う~んと悩んでから、倒れている自転車を起こした。




「じゃあ、駅まで送るよ。後ろ、乗って!!」




へ?



「あ…歩けないか…。ほら、大丈夫?」



気付いたら、先輩が私の肩に手を回して、私を立ち上がらせてくれていて……



自転車にも乗せてくれていた。




「沙也香ちゃん。電車乗ったら詩織を頼むね。俺、ぶつけておいて無責任だけど用事があって、家まで遅れないんだ。」



「はい!分かりました!じゃあ先に駅行ってます!」




沙也香は笑顔で私達に背を向けた。