駅に向かって歩いていたら、さすがにもう涙は止まっていた。
「卒業式なんていらないよ……」
私は、沙也香と歩きながらポツリと呟いた。
「本当……卒業式なんていらないよね…」
沙也香もそう言った。
沙也香もまた、先輩に恋している。
しかも、サッカー部。
奏先輩の友達の今井快っていう先輩。
「快先輩もいなくなっちゃう。何を生きがいにしろっつーの…」
沙也香は悲しそうな顔で、はははっと笑った。
「……沙也香…今井先輩は、大学…県外?」
「みたい…。奏先輩は?」
「奏先輩も…。」
「そっか……」
私達はそれだけだ言うと、お互い黙ったまま歩いた。
これ以上話すと、余計に悲しくなるから……
ただ、黙って、トボトボと駅への道を歩いていた。
その時だった…