「何て言ったんですか?」


笹河と手を繋いで、どこかへと向かって歩きながら笹河に聞いた。



「誘拐するって言った」



「嘘やめてくださいよ」



「…あんたの娘は、俺がもらってやるって言ったんだよ」



それも嘘じゃん。

ムカッとしながらも、心のどこかで喜んでるあたしがいる。



「笹河さん」



「何だ」



「ありがとう」



「…変なやつ」



照れているのか、顔が赤くて手も熱かった。



「ねぇ、笹河さん。もし、もしも…あたしが、笹河さんのお嫁さんになったらさ」



「もしもじゃねぇ。絶対だ、バカ」



「言うと思った」



そっか。


そうだよね。