「運転手さん」


「あ?」


「この車には、薬物が隠されてますね。しかも、何億もの」


「ほぉ、よく知ってんな」


「…海部賢治。42歳、タクシー運転手として働いていたけど、今日クビになった」


「…どこの情報だい」


笹河ぁ、これでどうすんの!?

ますます怒ってんじゃん!


もう一度、圭に抱き着いて携帯を取り出した。


「ゴホッ」


『おう。もう、うしろにいるぞ』


ちらっとうしろを見ると、バイクに乗った笹河がいた。


片手に木刀。