千波がいるカフェに向かう途中、胃が痛くなった。


「大丈夫か?」


「…はい」


お腹を押さえて、どうにかカフェに着いた。

千波の私服とメイクは、相変わらずバッチリだった。


「千波」


「蒼空…と、慶さん」


嬉しそうに笑う千波。

ズキンと、また胃が痛くなった。


「千波、どしたの?」


「あ…あのさ。あたし……」


千波は、顔を赤らめて、あたしの隣にいる笹河を見つめる。


あたしは、笹河の左手をギュッと握った。

笹河も、強く握ってくれた。


「…蒼空、ちょっといい?ちょっとだけ、慶さんとふたりで話していい?」


「あ…うん」


予想外だった。
何を言われるんだろうと考えていただけだったから。