「お前なぁ、人の悪口言っといて何もないってわけにはいかないの」


「だからって、犯罪ですよ!」


笹河の笑顔はまだ消えない。マジで…あたし危ない。

逃げたいけど逃げられないよっ。


「…」


…い、い、嫌だってばーっ。

笹河の顔が近づいてくる。ちょっ、こんなっ、人がいるとこで!

諦めかけて目を閉じていると、顔にゴツゴツとしたものがあたった。

目を開けてみると、笹河の胸だった。


抱きしめられてる?


これも恥ずかしいんですけど。


「お前って、わかりやすいよな」


頭の上で、ボソッとつぶやいているけど何も言わずに笹河を抱きしめた。


嘘。まったくわかってないじゃん。