「…ごめんなさい。あたし…」


「帰るか?」


「や、やだ」


「そんなに仕事したくないのかよ」


笹河のバカ。
ちょっとは、その…考えてよね。

俯いて、何か言おうと考えた。でも、何も思いつかなくて。


「冗談。ほら、次行くぞ」


笹河に手を引っ張られて、次の場所へと向かう。

この胸の高鳴りが、手を通じて聞こえたら…笹河は、何て言ってくれるかな。


「ペンギンもいいな。あ、アザラシも」


あたしも笹河の手を強く握った。

もうすぐ、笹河とはこんな風に手を繋ぐことも、隣にいることもなくなるんだよね。


だったら、あたしは。