「水族館なんて、久しぶりだな」


「誰と来たんですか?」


「元カノと。これで2回目だ」


2回目ってことは、親と来たことがないのかな。


「親とは…?」


「ない。それ以前にいなかったからな」


何も言えなかった。
慰めの言葉なんて嫌だと思うし、何て言えばいいのかわからない。


「まぁ、今が幸せだから別にいいけどな」


笑顔であたしの頭を優しく叩いた。

あたしは、笹河の腕をつかんだ。

いや、しがみついたと言ってもいいほどだけど。


「本当にどうした?」


「…わかんない」


今日は、心から楽しもうと思ってたのに。

あたし、どんだけ甘えてるんだろう。