あの日以来、笹河はあたしの家の前までは来ても中に入ってくることはなかった。


今日は、休んでもいいと笹河からメールが。


特にやることもないから、友達の千波とカラオケに。


「蒼空、何かあった?」


「…うん」


「笹河さんのことでしょ」


「うん」


千波には、笹河のことを教えておいた。


「あたし、笹河さんの気持ちわかるなぁ」


「…え?」


「蒼空、鈍感なんだよ。ていうか、まだ気づいてない?」


「何を?」


千波の言葉がまったくわからない。

何に気づいてないのかな。