あたしはついに、笹河に抱き着いた。


勢いよく抱き着いたから、笹河は倒れてしまった。

押し倒したって言ってもいい。


「どうした?」


「バカァ。バカ……バカ…」


「……ああ」


ゆっくりと抱きしめてくれる。あたしも必死に抱き着く。


「ど…っ……し…て…」


「ん?」


「どうして…」


その先が言えなくて。
黙り込むあたしの頭を優しく撫でてくれる。


「蒼空」


優しくあたしを呼んでくれる。こんなにも、苦しいことはなかった。