八ヶ月間、毎日のように通った
地歴公民室―。



どことなく古めかしいこの
木の香りは、笹森先生を思わせる
懐かしいにおいだった。




コンコン―

ガラガラ――。


「笹森先生いらっしゃいますか」



私が先生の名を呼ぶと
そこには先生が居なかった。

近くに居た先生が、

「笹森先生は横の空き教室で、
日本史の補習してるわ。」


と教えてくれた。

テクテク歩いて窓を覗くと
女の子と2人きりで
日本史の補習―。



最後の最後まで
あたしを嫉妬させるんか。


そう思いながら入るのを
ためらっていると

「森本さん来たかあ!卒業おめでとう!」


そう言いながら、振り返った先生の
胸元にはあの赤色のネクタイ―。


「先生〜そのネクタイ似合わないっ笑」


「えーそうか?地味な俺には似合うと
思ったのになあー。」


と言いながらネクタイを触っている。



「嘘だよ。嬉しいよ先生。私があげたネクタイ付けてくれて。
似合ってるよとっても。」


私がそう言うと―




笹森先生の体が近付いてきた。





その体の中に私はそっと
包まれていった。