「姉さんは、病み上がりなんだ。真っ直ぐ帰って、休んだ方がいいに決まってる」

 学校で倒れたのが、余程ショックだったのか、香里を連れ帰るという、多郎の意思は固い。

「それは俺も、そう思う。これで体調くずしたら、お前も馬鹿らしいだろ」

 いつの間にかパンを食べ終えている鈴も、多郎に同調する。

「え、でも、大した距離じゃないし……」

「みんな心配してんのよ。今日くらい、聞いてあげたら?」

 智恵子まで二人の味方と分かり、香里はうなだれた。

 鈴や多郎ちゃんは、ともかく、ちーちゃんには勝てない、と経験で知っていた。

「わ、わかった……」

 敗北を察した香里は、肩を落としながらも頷く。