香里は、昼休みのチャイムが鳴ると、急いで教室をでた。

ぐずぐずしていたら、ちーちゃんが来ちゃうかも、と思ったから。

もう香里は、智恵子に会って何を話していいのか分からなかった。

どんなに智恵子が優しく笑っても、信じられる気がしない。

そんな自分が、また嫌で。

嫌で、嫌で、たまらなかった。


 誰もいない場所を探して、図書室にたどりつく。

図書室は、本校舎から渡り廊下で繋がった、旧舎にある。

取り残されている、まるで孤島みたいだ。