本当は、気づいていた。

鈴が私みたいな つまらない奴と付き合う理由なんて、どこにも見当たらないって。

甘えていたんだ。

鈴なら、そんな私でも側に置いてくれるだろうって。

鈴は、どんな気分でいたんだろう。

家の決まりでしょうがなく、わたしみたいな奴といた鈴は。


 鈴だけじゃない。

朝蜘先生だって、しょうがないから私と結婚なんて言い出したんだし。

ちーちゃんは……ちーちゃんも、そうだったのかもしれない。


 みんなが見ていたのは《花のむすめ》で、館花 香里のことなんて誰も要らなかったんだ。

 だとしたら。

だとしたら、わたしは何だったんだろう……。

あの日常のなかで、わたしは何処にいたんだろう。