「はは、俺だけじゃアイツを守れやしないのに、どんな顔で、んなこと言えって?」


 鈴は、揚羽から香里を守れなかった。

香里を救ったのは朝蜘で、自分は倒れていただけだった。

鈴では、ダメなのだ。

朝蜘の手を借りなければ、香里は蜜虫に殺されてしまう。

一緒に逃げてくれだなんて、一緒に死んでくれ、と言うのと同じようなものだ。


鈴目には、そんなこと言えやしなかったし、言いたくもなかった。


たとえ、胸が痛みを叫んでも、鈴目は香里に生きていてほしかった。

「俺には、何も言えることなんてない……それに、」


 それに、どっちにしろ、俺は香里のそばにはいられない。