ふと気付くと、香里は白いテーブルクロスをかけた卓の前に座っていた。 何の気なしに、ちらりと視線を動かすと、スーツ姿の鈴が立っている。 スタンドマイクの前で、かしこまった体の咳払いを一つ。 「新婦の香里さんとは幼なじみで、これがドジな奴なんですが……」 しんぷ? 新譜? 神父? 「友人のスピーチくらい、きちんと聞きなさい」 横からする落ち着いた声のトーンに固まる。 あ、嫌なこと思い出しそう。