「いい加減にしろ。お前たち」

 終わらせたのは、すっかり存在を忘れられていた朝蜘先生だった。

 香里には神様のように見える。

「教科書は館花が見せてやりなさい。麝香は蜂須賀とも友達になってやるように」

 先生は、真面目な顔で可笑しな指示を出したが、誰も笑うものはいない。

 鈴も渋々と、揚羽を締め上げていた腕を解く。

「それと、話があるから、後で蜂須賀は職員室に来なさい」

 以上、と短く言うと、先生はHRを終わらせて教室を出ていった。

 而して、蝶の少年は香里のクラスメイトという席に収まったのだった。