ぐえっ、というカエルが潰れたような声がした。

目をやれば、朝蜘に踏まれた鈴目が、じたばたと身をよじっている。

 元気そうだ。

「朝蜘さん、ひっでぇ……」

 朝蜘の足から逃れた鈴は、恨めしそうな顔をする。

香里は安心で、肩の力が抜けてしまった。

心配して損をした、と腹の立つ思いすらある。

「鈴のバカっ」

 急に罵られた鈴目は、ぎょっとして香里を見た。

何で、そんなこと言われなきゃならないんだ、という顔で。