種をまいたら、美味しい野菜が村中から。

 って、何バカなこと考えてるんだろう、私。

  香里は、状況にそぐわない自分の頭の中をなじった。

疲れているのだ。

何も考えたくないくらい、体がだるい。

指の先さえ動かしたくない。

まぶたが、重い……。

「あら、眠いのね、香里。あなたも、寝てしまいなさいよ」

 智恵子の手のひらが、優しく香里の、まぶたに触れる。

先程とは比べものにならないほどの、眠気が襲ってくる。