「まあ、そう言うなよ。教科書まだだろう。俺が見せてやるし」

「いいよ別に。君の教科書、落書きありそうだし。香里に見せてもらうから」

 揚羽と鈴が親しげなのか険悪なのか、よく分からない会話を始めてしまったので、香里はどうしていいのか分からなくなって、両者の顔を交互に見る。

「香里は見せるなんて言ってないだろ」

「見せてくれるよ。僕ら、もう友達なんだもの」

 一向に終わりそうにない言い合いに、香里は気が遠くなりそうだ。