「まあ、しばらく寝てなさいな。後は、朝蜘さまが何とかして下さるわ」

 くすりと笑う智恵子の顔を、香里は何も言えずに見つめる。

 さま……?
 朝蜘先生に、さま付け!?

 とか、色々ツッコミたいことはあったが、言い出してはキリがない。

それほどに今日は、色々なことが起こりすぎていた。

「何とかしろ、か。荷の重いことだな」

 先生は、縛られた腕を力任せに引く揚羽に苦戦している。

揚羽の左手は、狙いが悪くて全然ひとには当たらない。

しかし、とばっちりを受けている地面は、掘り返されて既にボコボコだった。

このままじゃ耕されて村中、畑になっちゃいそう……。