無防備に開いた口と、重そうな瞼が子どものようだ。

その半分閉じた目を見て、香里は得体の知れない、違和感を感じた。

何かが変だ。

「あれ、多郎ちゃんの目……」

 落ち着かなさの正体を掴んだ気がして、香里は体を前に乗り出す。

目が、黒い。

充血しているのだろうか、暗い家内で、多郎の目は白い部分がないように見えた。

「……っ!」

 よく確かめようと覗き込むと、多郎は素早く手で目を隠す。

それだけではなく、目を覆ったまま、顔まで背けようとした。