週の半ばから、日曜までは瞬きの間だった。

学校に行く日よりも、早起きをする。

弟に知られずに、家を出るつもりだった。

暖かい布団の誘惑を振り切って、コートに袖を通す。

まだ冬ではないと言え、朝は床から寒気が上るようだ。

物音を立てないように、そうっと廊下を歩く。

まあ、夜も明け切っていない時間だから、気づかれることもあるまいが。

「……姉さん?」

 背後から投げ掛けられる声に息が止まった。

信じられない。どれだけ早起きなんだ、老人か。

「どこ、行くの?」