奏空は被験者のデータを見ながら、また溜息をついた。
考えても考えても答はない。

幸い、結衣は一度すれ違ってはいるが精神的にも問題はなかった。


ホントにこんなプロジェクトなんてなくなればいい。

ずっと、そう思っていた。

第二、第三の奏を出さない為にも。


奏空は知っていた。
プロジェクトの本体を止める方法を。

政府が発足したことだが、プログラムは奏空が動かしていた。
最初のプログラムを作ったのはもう亡くなっている奏空の母、満月(ミツキ)だった。
満月の仕事を受け継いだ楓も亡くなっている。

他の誰も知らないプログラム。
奏空にしか出来ない止め方だった。