会場は静まり返っていた。
質問が無いわけではない。
ただ、誰ひとり…
言葉が出なかった。
ソラの話を飲み込めなかった。
というよりは信じることが出来なかった。
もちろん、ユイですらソラの話を信じたくなかった。
実際、¨碧い星¨も¨黒い星¨もあってもなくても関係はない。
だが、ソラの話を信じるとするならば、自分は実験台なのだ。
ユイの大好きな母親も偽物ということになる。
父親だって海外の出張先から手紙をくれたがあれも偽物だ。
本物の親の記憶は今無いが、ユイが実験台になることを了承したのだ。
ずっと¨黒い星¨は捨てられたと思っていたが、捨てられたのは¨自分自身¨だったのだ…。
それをどうやって信じろと言うのだろうか…?
「特に無いようであれば次に進めます。よろしいですか?」
誰もが言葉を失う中、ソラはまた機械的に声を出した。
星の部屋では星に溶けてしまいそうな透き通った声に聞こえていたが、今は…まるで槍が突き刺すように冷たく部屋に響いていた。