「はい、では話を進めます。冊子は今見ていただいた通り生活についてだけです。特に何もありません。」
ステージの男性は淡々と話し始めた…というより淡々と冊子を読み上げているだけだった。
さすがのユイも退屈になり周りを見渡す。
…どうやら何人かは寝ている。
(この中にシゲやサクラもいるのかな…?)
ユイは来る前にチャットをしなかったので同じ会場かは解らなかった。
聞いておけば、隣に座れて退屈しのぎもできたに違いない。
「はい。じゃこれだけ重要なんで起きてね。」
寝てるのもお見通しな男性はスパッと声をあげた。
「冊子にはないですが、しばらくご家族と連絡は取れません。今までみたいに遊び場も最初はないので覚悟しておいてください。」
男性が笑顔でサラッと言った発言に、会場内は急に騒がしくなった。
「質問は手を…」
「はい!!」
「…早いねぇ。はい、そこの青い服の子。」
「どうして家に連絡できないんですか?」
「…うーん。決まりだからね…。ま、たぶん取る必要はなくなるから、我慢して。はい、次!」
「…?」
青い服の青年は納得しないまま座らされた。