そして結衣は話し始めた。
『皆さんは知っていますか?今、この星が死にかけていることを…。空は無くなり、天候も荒れ、場所によっては人も植物も住めません。』
結衣が話すのと同時に、映像は人も植物も住めないような大地を映し出す。
泣きたくなるような綺麗な夜空もぼやけ、星は失われていく。
街はシェルターに包まれ、偽物の空を映す。
そこには、誰もが解っているのに眼を逸らしていた現実が広がっていた。
『¨黒い星プロジェクト計画¨はその星が死んでいくのを防ぐために創られました。…ここまでは皆さんもご存知だと思います。…けれど。実は…プロジェクトはもう一つ有りました。』
¨プロジェクトはもう一つ有る¨
結衣のその言葉を聴いた瞬間、それまで興味を示さなかった人々も結衣を見る。
満月の話にもあったように、¨もう一つ¨については闇の中に有り、知る人は極僅かだった。
結衣は深呼吸をして、ゆっくり言葉を紡いだ。
『もう一つのプロジェクト。それは¨ノアの箱舟計画¨と呼ばれ、選ばれた人だけが別の星に移り、この星を捨てる計画でした。』