鈴音がスイッチを押した瞬間…世界中の映像という映像は全て真っ黒になり、次に明かりが付いた時には満月が残した碧い星の映像が流れた。
「なぁに?これ?」
「なんなのよ!故障?!」
「おいっ!!どうなってるんだ?!」
突然の出来事に、世界中の色んな所から抗議と疑問の声が溢れた。
結衣達は一時的に映像媒体を独占した。
『皆さん、ごめんなさい。少しだけ皆さんのお時間を下さい。』
映像が夜空に変わった頃、結衣はマイクに向かって声を世界中へ送る。
「は?!」
「サッサと戻せよ!!」
「誰よあんた!!」
届くはずのない世界中の抗議の声。
聴こえるはずがないのに、多くの抗議はプロジェクトチームにまで届いている気がしてならない。
結衣はそれでも言葉を止めなかった。
映像を切替、今度は結衣本人が映像に映る。
結衣はカメラの向こうに向かって笑顔を見せた。
『はじめまして。黒い星プロジェクト計画のメンバーの結衣です。プロジェクトに関するお話をしたくて私は今ここにいます。』
これは危険なカケになる。
満月や晴が狙われたキッカケは報道され、顔が世界中に出回った事だった。
それでも結衣はこの方法を選んだのだ。