「どうやって…?」

奏空はもう一度結衣に問い掛けた。

この星の部屋は、あのプログラムが得意な鈴音でさえ開けることは出来なかった。
それを結衣が独りで開けたのだ。
信じたくても信じられない。

もちろん暇な時ならば、結樹や鈴音が手を貸したりすることも考えられる。
…が、あれ以来二人にはそんな暇もないだろう。


「私も何かしたくて…お母さんに基礎を教えてもらって…。応用して…開けてみたの…そしたらホントに開いて…。」

結衣は小さな声で俯いたまま、しどろもどろ奏空に答えた。

奏空はその答えを聞いても黙ったまま。
結衣は不安になったのか、顔を上げ、さらに言葉を続けた。

「あのね、私、奏空と話がしたかったの。」

「…話?」

「うん…。プロジェクトの話…。」

「………。」

夢に入って満月に会った、あの時。
みんなでプロジェクトの存続について考えるはずだった。

けれど、次の日から舞衣の引き継ぎが始まり、6人はそれぞれ忙しくなり、話す時間はなくなっていった。
奏空も結樹も解ってはいるが、舞衣に言い出すタイミングがなく、ここまで来ていた。

「私、考えてきたの。私なりの答え。」

結衣の瞳は真っ直ぐに奏空を捕まえた。