ベットの隅に置いてある田中さんをとる。



田中さんは蛇のぬいぐるみ。



中学生のときの帰り道、



蛇の田中さんに会ったけど



次の日車に引かれてて。



その死体を見て泣き止まない私に



一晩かけてヒコが作ってくれた



ぬいぐるみ。



ヒコは裁縫が苦手でボロボロだったけど



すっごくすっごく嬉しかった。



「田中さん、



今日ねヒコに彼女が出来たんだって。



本当は最高の笑顔で



おめでとうって言いたかったの。



でも言えなかったんた。



今もそうだけど



こうもやもやしてて



胸がぎゅっと締め付けられるかんじ。



なんなんだろうね。



甘いもの食べても



お母さんのご飯食べても



よくならないんだ。



田中さん、どうしたらいいと思う?」
田中さんを見る。



当然答えは返ってこない。



「ヒコのバカ」



田中さんをぎゅっと抱きしめた。



明日は運良く休み。



頑張ってこれがなんなのか



考えよ。



それから………………………



ヒコにもう一回おめでとうって



メールしよう。



大丈夫だって自分で言っときながら



心配してそうだし。



そんなの彼女に…………………失礼、だ。



私は眠りについた。













チキン少年、彼女が出来た



[完]



これは友達と考えた賭け。



前代未聞、そして



今後の幼なじみ人生がかかっている賭け。



本当はこのままでいたい。



ずっと近くで見つめていたい。



だけどそれだと今の関係が続いたまま。



だからケイにとって俺の存在が



どのようなものか確かめるために



俺は嘘をついた。



ことの発端は3日前。



俺の友達…………いや、バカカップルに



昼放課ご飯を食べながら



ケイのことについて



責められていた時のこと。


……………あ、ついでに話しておくと



俺のクラスでは



俺がケイのこと好きだと



常識のように知ってるので



恋愛話になると



撹乱(特に女子に)される。



結構、分かりやすいんだって俺。



「まだ告白してないの~~~~」



「チキンチキンチキン」



「うるせい」



ご飯の味が悪くなんだろう。



このやろう。



「なんなら襲っちゃえ☆」



「うぐっ」



ゴホゴホっとなる。



ヤバい、むせた。



「何やってんのチキン君」



「お前らなぁ…………/////」



「だって…………………」



「大丈夫だ。



一番悪いのは告白すら出来ない



この食えないチキンだ」



「俺を食い物と比較するんじゃねぇ」



たくっ……………



こいつらもこいつらで



ケイ並みにボケ上がる。



あ、ケイの場合は



天然だから違うか。



「と言うかその前に告白したって



意味すれば間違われるだけだし」



昔々の中学1年の秋。



ケイは告白された。



けどケイは



「どこに行けばいいの?」



と、お決まりの天然台詞を言った。



もちろんケイは未だに告白だったと



気付いてすらない。



そんなケイに俺が告白でもしたら



きっと素晴らしい勘違いをしてくれるに



違いない。



昔からケイに関しては



お節介ばかりしてたせいで



小学校の時は出来る弟、



中学校の時は面倒見のいいお兄ちゃん、



そして高校に上がっては



娘を見守るお母さんの位置にいる。



ね?どう考えたってなるでしょ?



「よーするに



ケイにとって



まさまさはどんな存在か



考えさせる必要があるっていうわけね。



じゃあさ、



ケイから離れてみたら」



「ナイス、みっちゃん」



ケイから・・・離れる?



ああ。



っていいわけない!!!!



「無理無理。



ケイから目を離したら



何するかわかんないし。



俺の心配性を知って



言ってるのか?」