俺は姫嘉を押さえ込み、叫ぶ。



「離せ!私は……」


「姫…嘉?」


姫嘉は生気を失ったように動かなくなった。




「え、姫嘉?」


顔を覗き込み、姫嘉の様子を窺う。


「私…、どうしちゃったの?」



ほっ、戻ったか。


「何でもねぇよ、気にすんじゃねぇ」



押さえてた腕を放す。



「でも、私……きゃっ!!?」


姫嘉は持っていたカッターに気付き、悲鳴を上げる。


「な、何で…!?」



覚醒してる時の記憶がねぇのか。



「いいから、帰るぞ」


「へ!?け、啓太は…?喧嘩は?」




「引き分けだ、姫嘉ちゃん」


「啓太…」



啓太がパンパンと手を叩く。




「またな、啓太」