俺は拳を握り締め、啓太を殴った。


姫嘉は顔を赤らめ、しゃがみこんでいる。



「姫嘉」


「あいつ…マジで許さねぇ」



瞳孔が開いて、血走っている姫嘉の瞳。



「落ち着けって。……俺が殺(ヤ)る」


「ちょっと待って!君達、本当に殺そうとしてるでしょ!!?」

「それはマズイだろ!?」



「うるせぇな、何がマズイんだよ」


「こいつは敵なんだろ?だったら何の問題もないでしょ」



「敵、ねぇ」


啓太が切れた口を押さえながら、よろりと立ち上がる。



「俺は、姫嘉ちゃんとは“恋人”でいたいなぁ」


「「あ?」」


姫嘉と声が重なる。同感のようだ。



「ざけんな、誰がお前と付き合うかよ」


「当たりめぇだ。姫嘉は渡さねぇ」





「だったら…力尽くで奪うまで!」


かかってこいよ、姫嘉が欲しけりゃな。